感じたままのイノベな日々

Oracle時代に書き溜めたものたち。

ちょっと変わったBYOLが意外と使える?!

クラウドを活用したソフトウェアの提供方法として、購入したソフトウェアのライセンスをクラウド上にインストールして利用できる形態のBYOL

ちょっと変わったBYOLがある?!ということで、今日はBYOLをテーマに書いていきたいと思います!

※2018/12/10 UPDATED

  

言葉の意味

念のため、言葉の意味も見ておきましょう。

BYOLBring Your Own License

BYOLとは、クラウドサービスなどにおける商用ソフトウェアの提供・利用方式の一つで、ソフトウェア本体をすぐ利用できる状態であらかじめ事業者側が用意しておき、希望する利用者はメーカーからライセンス(利用権)のみを購入してソフトウェアを起動する方式。

出典:BYOL(Bring Your Own License)とは - IT用語辞典

よくあるBYOL

Oracleライセンスを他社Public Cloudに持ち込む

おそらく、一番思いつきやすいのが、OracleライセンスをAWSに持ち込む、、、という活用の仕方ではないでしょうか?FAQでもそのような質問が登録されています。

他社のクラウド・サービスに、ライセンス持ち込み(BYOL: Bring Your Own License)でオラクル製品を使う場合、必要なライセンス数はどうなりますか?

OracleライセンスをOracle Cloudに持ち込む

もちろん、OracleライセンスをOracle Cloud(Oracle Cloud Infrastructure)上に持ち込む、、ということも可能です!こちらもFAQにも質問がありますね。

Oracle Cloud上にオラクル製品のライセンスを持ち込むこと(BYOL)は可能ですか?

この場合のライセンスのカウント方法は、注意が必要なようです。

Oracleライセンスの単位は、一般的に「Processor」と「Named User Plus(NUP)」という2種類が存在しています。

・Named User Plus:任意の一時点でオラクル製品に対して使用する権利を有する特定の個人の総数に対して使用を許諾するライセンスです。製品によっては最少ユーザー数の設定があります。詳細は最少ユーザー数一覧をご確認下さい。
Processor:オラクル製品が導入される特定のコンピュータ上にて、搭載されているプロセッサ(CPU)の総数に対して使用を許諾するライセンスです。Processorライセンスにてご購入された場合、ユーザー数の制限はありません

出典:オラクル製品は、どのようなライセンスで購入できますか?

ライセンスがどれくらい必要なのか、については、こちらを参照ください。

内容を少しだけ書くと、、

  • Named User Plusライセンスは、実際のユーザー数分、もしくは、Processorごとの最少ユーザー数のどちらか多いほうのNUPライセンスが必要
  • ライセンス名に「Standard Edition」などの名称がある場合は、また別の決まりがあるのでリンク先を見て見てください!

という感じです。

ああ、なんだか、ライセンスの話を始めたら、だんだん複雑になってきましたね。。。

でも、本当はそんなに複雑な話でもなく、たとえばOracle Database Enterprise Editionを4Processor持っている場合、Oracle Cloud Infrastructureの2OCPU分のパワーの上で使える、ということになりますね。

 

ちょっと変わったBYOL?!

はい、本題はここからなんです。

普通、BYOLといったら今まで見てきたような、ソフトウェアライセンスをクラウド上で動かす、ということになりますよね。

そうではなくて、購入済みのソフトウェアライセンスを活用して、それに相当するクラウドサービスをかなり安く利用できる、というサービスがあるんです!

ご存知でしたでしょうか?これ、実はどこよりもわかりやすいOracle Cloud見積り方法基礎(1)Universal Creditという課金モデルを紹介しましたが、それが発表されたときと同時に発表されたプログラムだったんですね~!そこでは以下のサイトを紹介していました。

オラクル、クラウドの購入方法や利用形態を変革する新プログラムを発表 | Oracle 日本

このサイトを引用しながらしゃべると、

現在、オラクルのお客様はオンプレミスのライセンスを「Oracle IaaS」に持ち込むことができます。

はい、これは今まで見てきた「よくあるBYOL②」のことを指していますね。

ラクルは本日よりBYOLの範囲を拡大し、「Oracle Database」、「Oracle Middleware」、「Oracle Analytics」をはじめとするオラクルの既存のソフトウェア・ライセンスを「Oracle PaaS」で使用できるようにします。既存のオンプレミス・ライセンスを持つお客様はこの投資を活かして、これまでのPaaSの何分の1かの料金で「Oracle Database Cloud」を利用できます。

これです!これ。Oracleライセンスをそもそも持ってないよ~という方には、正直全く関係ない話ではありますが、Oracleライセンスを持ってる方は全員に関係する話ではないでしょうか?!

「よくあるBYOL」と違うということを表すために、「BYOL to PaaS」なんて言葉でも表現されていたりします。そんなちょっと変わったBYOLであるBYOL to PaaSについて、見ていきましょう!

 

以下からは、基本的にこちらのサイトを参考にしながら、書いていきます~

どのPaaSがBYOL to PaaSの対象なの?

PaaSの中には、オンプレミスのライセンスを持たないクラウド専用のサービスもあるため、すべてのPaaSがBYOL to PaaSの対象というわけではありません

BYOL to PaaSの対象となるPaaSは、Universal Creditの価格一覧の中に、"BYOL"と記載があります。それを見ていくと、

  • Analytics Cloud
  • Data Integration Platform
  • Autonomous Data Warehouse
  • Integration
  • Autonomous Transaction Processing
  • Data Integrator
  • Database
  • GoldenGate
  • Java
  • SOA Suite
  • WebCenter Portal

これらのPaaSが、BYOL to PaaSの対象となるのですね!

ライセンスはどのようにPaaSにマッピングされるの?

対象のサービスはわかったけど、どのくらいのライセンスを持っていたら、どのくらいのPaaSとして使えるの?ということが気になります。

参照しているサイトによると、

The mapping rules are defined in the Oracle PaaS and IaaS Universal Credits Service Description Document.

とあるので、クリックしてみると、、104ページ!!ああ、なんでこう長いんだ。見る気がなくなる。。

ざざざざざーーーーっっっ!!と見ていくと、ところどころにBYOL Required Licensesという項目を見かけます。

例として、DatabaseのBYOL Required Licensesを見てみると、

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英語ではあるものの、意外と読むこと自体はついていけそうな感じですね!

どれくらいお得になるの?

さて、やっとこの話題まで来れました。(道のりが遠い

BYOL to PaaSって結局どれだけお得なの?これが命題。でもこれ実は、結構深い(?)んですよね~。

とりあえず価格表でBYOL to PaaSの価格を見てみましょう。

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安い...!! 圧倒的に安くなっている。。これはOracleライセンスを持っていて、かつOracle Cloudを使いたい人に朗報です!

え、最初の深いはなんだって?ということで、BYOL to PaaSの注意点を含むその他情報を見ていきましょう。

オンプレミスに戻せるの?

はい。オンプレミスとパブリック・クラウドとカスタマーのOracle Cloudとの間で、完全なライセンス・モビリティがあります。

ということなので、戻せるようです。(例のごとく、サイト閲覧にはGoogle Chromeの翻訳機能を使っています)

ライセンスのサポート費用はどうなるの?

オンプレミスライセンスのサポート費用は引き続き支払う必要があります。これ、ちょっと見落としそうなところですよね~。ライセンスの場合はライセンス自体にサポート費用は含まれていないので、クラウドサービスでサポートを受けられる代わりに、ライセンスのサポート費用は払い続けなければいけない、、という感じでしょうか。

で、何が深いかというと、実際にオンプレミス環境からBYOL to PaaSを活用してクラウド環境への移行を検討する場合は、どのくらいコスト削減になるか比較すると思うのですが、ライセンスサポート費用は人によって異なる、という事情があるのでここで一概に言い切ることが難しいのです。

というのも、ラクルライセンスのサポート費用はライセンス費用の22%、と決まっています。つまり、いくらでライセンスを購入したかによって、支払うサポート費用が変動(=人によって異なる)する、ということですね。そのため、特に今後のキャッシュアウトという観点でコスト比較したい場合は、試算してみたほうがよさそうです。

 

なんかちょっと面倒だな、、ってちょっと思いませんでした?!でも、全然ネガティブになるようなことではないと、個人的には思っています。純粋に、取りうる選択肢が増えたということです。

もうクラウドに移行するぞ!!と決めてしまっている方には、知っていると得するかもしれないプログラムですね。

 

どうやって見積るの?(UPDATED

BYOL to PaaSをCost Estimatorで見積りたい場合は、どうすれば良いのでしょうか?

せっかくなので、(今イチオシサービスでもあるらしい)Autonomous Databaseを例にとって、Cost Estimatorを見てみましょう。

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左側の「自律型データ管理」を選択すると、2種類のAutonomous Databaseが出てきました。BYOL用の箱がすでに準備されているのですね!

ここでは、Autonomous Data Warehouse Cloud - BYOLを見ていくために、「追加」をクリックしていきましょう。

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BYOLを追加したのの、通常の「自立型データ・ウェアハウス」も出てきちゃいました。何故。。

せっかくなので両方見てみると、違いを見つけました。

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「自律型データ・ウェアハウス」のタブの中にしか、Exadataストレージの項目がありません。

Autonomous Databaseは、利用にExadataストレージが必須要素となるため、BYOLでのAutonomous Databaseの場合にも、Exadataストレージの見積りが必要となるため、通常の「自律型データ・ウェアハウス」も出現したのですね!

 

以上、ちょっと変わったBYOLが意外と使える?!でした^^
 

それでは、また!