どこよりもわかりやすいOracle Cloud見積り方法基礎(6)
『どこよりもわかりやすいOracle Cloud見積り方法基礎』シリーズにて、「インフラストラクチャ(Infrastructure)」カテゴリをベースにCost Estimatorの使い方を解説していきましたが、
前回の(5)のロードバランサ編を以って、インフラストラクチャ(Infrastructure)部分は終了いたしました!^^
さて、ここからはできるところから書いていければな~と思っていますが、今回はクラウドを実際に運用していく上では大変重要となる「管理(Management)」カテゴリについて、書いてみたいと思います!
※2019年2月13日時点の情報です。
※2019年7月3日更新。
Oracle Management Cloudとは?
Cost Estimatorの「管理(Management)」カテゴリを選択すると、Oracle Management Cloud(以下、OMC)というサービスが表示されます。
「追加」をクリックして、構成オプションを見ていきましょう。
ドーン!!まず、Log Analytics Editionとエディションという2行が現れました。
Log Analytic Editionは、名前からして、単一サービスっぽいですね。課金メトリックも時間当たりのログの量のようです。
エディションは、プルダウンでStandard Editon(以下、SE)とEnterprise Edition(以下、EE)のどちらかを選択できるようになっています。課金メトリックは、、エンティティ?!ということで、謎単語が現れました。。ああ、こういうのがつらい。
Cost Estimatorとしてはこれ以上の階層はないようですので、今回はOMCのSEとEEの違いは何か、そしてエンティティは何者なのか!!を理解することがポイントとなりそうです。
OMCの構成要素
まずはOMCの全体像を見てみましょう。
イメージ図ですが、上から下までの監視対象をそれぞれ適切な監視方法でモニタリングできるようになっているサービスのようですね。
それぞれのサービスの特徴については、以下のサイトをご覧ください。
OMCは今まで分断されていたインフラ管理、アプリケーション管理、ログ管理などを、ひとつのプラットフォームにまとめることによって、より高度で統合化・自動化された監視・分析サービスを提供しているということですね。
OMCの課金体系
課金体系を見ていきましょう。
- Log Analytics Edition:Log Analytics(以下、LA)が含まれる
- Standard Edition:Application Performance Monitoring(以下、APM)、Infrastructure Monitoring(以下、IM)の2サービスが含まれる
- Enterprise Edition:APM、IM、IT Analytics(以下、ITA)、が含まれる
※略語が多くて申し訳ないですが、長いのでご容赦ください。。
というように、個別で購入するものと、パッケージで購入するものにわかれているようです。
エンティティの謎に迫る
さて、OMCには個別で購入できるものと、パッケージで購入するものがあることはわかりましたが、エンティティという概念がわからないと見積ることも難しそうなので、エンティティとは何かを見ていきたいと思います。
エンティティがの考え方が必要なサービス
Cost Estimatorに表示されていたので、もうおわかりかもしれませんが、エンティティという考え方で見積るサービスは、OMC SE、OMC EEということになります。
エンティティとは?
エンティティとは、サーバー、データベース、JVMなどOMCの管理対象となるオブジェクトのことです。ここからが最も複雑なのですが、オブジェクトの種類により、エンティティ数の換算方法が異なる!!のです。
OMCの監視方法:エージェント
ここでちょっと脱線。
実際に、OMCを使うときはエージェントを入れるだけのシンプルな構成が可能です。
エージェントは、APM AgentとCloud Agentの2種類あり、APM AgentはAPMを利用するときに必要となり、Cloud AgentはAPM以外のOMCサービスを利用する際に必要となります。
そのため、同じ管理対象でもAPM AgentとCloud Agentをそれぞれ使う場合(≒APMとIAと使う等)は、それぞれに課金が発生することになります。
大丈夫。まだ理解できていなくても、大丈夫です!!
実際にエンティティがどう適用されるのか見てみる
百聞は一見にしかず!とは、もうこのエンティティのためにあるのではないでしょうか?と思うくらいなので、エンティティの適用方法について見せていきます。
エンティティ基礎知識
オブジェクトの種類により、エンティティの換算方法が異なる、と先ほど言いましたが、それは以下のような意味です。
これはもう見たままなので、『ああ、管理対象によってエンティティの換算率がこのように違っているのね』と感じることができたら、ここでは一旦ok!
例で見るエンティティ
さて、次は具体例で見ていきましょう。
たとえば、以下のような3環境があったとします。特別、特徴のある構成というわけではないと思います。
このような環境をOMCで管理したい!と思ったら、どのような考え方になるでしょうか?
ドーン!!
APMを使うときに、クライアント側にひとつひとつエージェントを入れるということはありません。図よりAPMで管理したいオブジェクトは3つということになります。
エンティティ換算指標を参照すると、APMはひとつにつき60エンティティということですので、ここでは180エンティティ(=60エンティティ*3)ということになります。
DBサーバは、合計して8Processorあるようですので、エンティティ換算指標を参照して、48エンティティ(=6エンティティ*8Processor)になります。
そのほかのAPサーバや機器については、エンティティ換算指標によると1エンティティということですので、図のようなプロットになり11エンティティとなります。
Web/APサーバも、APMによるアプリケーション監視だけでなく、IMによるインフラ監視などを実施したい場合は、それぞれ60エンティティに加えて1エンティティが必要になる、ということが図で表されていますね。
今回の場合だと、合計して239エンティティということがわかりました。課金メトリックによると、エンティティは100単位で購入することになっていますので、239エンティティの場合の数量は3になります!
エンティティ締め
OMCで管理したいエンティティの数がわかったら、あとはどのOMCのサービスを利用したいかでSEとEEを選択してください。
ITAやOrchestrationを使う必要がない場合はSEを、より高度な分析をするためにもITAも使いたい!という場合はEEを選択しましょう。
Configuration and Compliance Editionも、このサービスを使いたい場合は、Cost Estimatorでエンティティ数分の数量(上の図だと数量3)を追加しましょう!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
OMCの見積りで最も鬼門となるエンティティについて、少しイメージがつきましたでしょうか?
クラウドなので利用状況によって、実際の価格が変動することもあるかと思いますが、この内容を理解していればOMCの概算をすることが可能です!!
OMCのエージェントをインストールしてみる
OCIのインフラストラクチャ部分の見積りブログを、レビューという形で支えてくださった@chiroitoさんが、実際にエージェントをインストールしたブログを書いています。これも合わせて読んで、あなたもOMCプロフェッショナルになれる?!
番外編:OMCとの馴れ初め
※ここからは読みたい人だけが読みましょう!
PaaSサービスの中で最初になぜOMCを選んだか、というと、営業時代に最初に深めに勉強したサービスなのですよね~。
Oracleの営業マンだったらDatabaseなのでは?!という感じでしたが、既にお客様はOracle Databaseを使用しており、追加で提案する、、というような感じではありませんでした。
紆余曲折しながら、管理対象がOracleであるかどうかに関わらず対応できちゃうOMCを紹介したところ、これがヒット!そして、はるばるインドのオフショアまでお客様拠点を追いかけて、説明しに参りました。
こんな経験があったので、エンティティの数え方もよく覚えてました~^^
それでは、また!^^